脂質異常症、善と悪の比率の問題

特定健診あるいは職場健診を受けていますか?

今年も異常なくてよかったといえる人は検査を受けた方の約20%くらいです。ほとんどの方が異常値があったと指摘されます。
その中でも特に異常としてひっかかるのはコレステロールや中性脂肪の値です。
脂質異常症と診断されます。

特に女性では、女性ホルモンは、LDLコレステロール(LDL-C)を下げる働きをしているため、更年期を過ぎると必ずLDL-C値が上がります。
LDLーCは、悪玉コレステロールとも呼ばれており末梢血管にコレステロールを運び動脈硬化の原因になります。
最終的に心筋梗塞や脳梗塞の原因になるので異常値の場合は下げることが勧められます。

一方、コレステロールには善玉コレステロール(HDL-C)と呼ばれているものもあります。
HDL-Cは末梢血管に蓄積したコレステロールを肝臓に運び動脈硬化を改善する働きをもつため善玉コレステロールと呼ばれています。

これまでは、LDL-C値を単独にみて高値であれば薬物治療をしようというのが一般的でした。
でも最近では、LDL-CとHDL-Cの比(L/H比)をみることが重視されています。
L/H比とはLDL-C値(㎎/dl)÷ HDL-C値(㎎/dl)のことです。
例えば、
1) LDL-C値138㎎/dl、HDL-C値42㎎/dlの場合、両コレステロールとも基準値内ですが、L/H比=138÷42=3.29です。
2) LDL-C値150㎎/dl、HDL-C値70㎎/dlの場合、LDL-Cは高値ですが、L/H比=150÷70=2.14です。

1)と2)を比べると2)の方がLDL-C値は高いのですが、実は1)の方が動脈硬化が進んだかなり危険な状態なのです。
体内のLDL-CとHDL-Cのバランスが取れた状態が好ましいのです。
L/H比はその目安になります。
L/H比は「糖尿病や高血圧がある場合、あるいは心筋梗塞の既往がある場合は、1.5以下」
「ほかに病気がない場合でも、2.0以下」が望ましいといわれています。
逆に3.0以上であれば治療を受ける必要があります。

LDL-Cを減らし、HDL-Cを増やすため(L/H比低下)には、以下のことを守ることです。
① 食べ過ぎない、飲みすぎない
② 禁煙
③ 野菜、キノコ、海藻、魚を摂取する
④ 運動を習慣化(ウオーキングなど)すること
①~④の次にするのが抗コレステロール剤による治療です。

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