院長ブログ

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糖尿病、戦略的な薬の使い方

先日、糖尿病の講演会に参加しました。講師の先生は、大学の先生でした。
タイトルは「進化する糖尿病治療」で、話の内容は糖尿病の病態にあった治療薬の選択というものでした。
簡潔に内容について記載します。
糖尿病を考えるとき、昔はとにかく血糖が高ければ糖尿病であり、とにかく血糖を下げるように治療しようというものでした。
現在の糖尿病の治療においては、病期がどの時期かが問われる時代となりました。
糖尿病の進行する過程かがはっきりしてきたからです。

糖尿病初期;
食事をした後に血糖が高くなるという状態(食後高血糖)という状態になります。
この時期は食事後にインスリンの分泌が遅れるためですが、インスリンの分泌量は多い状態です。
インスリン分泌量が多いのに、あまり効かないという状態(インスリン抵抗性)です。
体重増加や肥満による脂肪蓄積がインスリン抵抗性の原因となります。

糖尿病後期;
膵臓内の脂肪蓄積により膵細胞が破壊されインスリン分泌が減ってきます
食事をしても十分なインスリンが分泌されないことになり糖尿病が悪化します。
膵細胞が破壊されると元には戻らなくなりますから、病初期にいかに早く適切な治療を受けるかが糖尿病治療のコツです。そのためには早期診断と早期治療がカギとなります。

病初期のインスリン抵抗性を改善するために一番大事なことは、適切な食事と運動により内臓脂肪または筋肉などについた異所性脂肪と呼ばれる脂肪を減らすことです。手助けとして薬物治療があります。

病初期の治療の基本的な考え方は、食後の高血糖の改善とインスリン抵抗性の改善です。
経口薬として適しているのは、①αーグルコシダーゼ(食事後の血糖吸収阻害薬)、②ビグアナイド(肝臓での糖新生を抑える)、③グリニド(食後のインスリン分泌を促す)、④チアゾリジン(脂肪の分化を促進してインスリン抵抗性を抑制)です。

インスリン抵抗性があまりにもひどく重度の高血糖の方には、膵臓自体を休ませるためにインスリン注射をするという方法もあります。
また新薬の⑤SGLT-2阻害薬(尿糖排泄亢進による血糖抑制)も食後高血糖を抑制する有用な薬剤と考えられます。

病後期のインスリン分泌が低下して段階では、⑥DPP4阻害薬(消化管ホルモンの働きを活性化してインスリン分泌を促進)、⑦SU剤(強力にインスリン分泌を促す)が有効です。
受診された糖尿病の病期あわせて7種類の薬剤を単剤あるいは組み合わせて使用することになります。

選択肢が増えたことはとてもよいことですが、使用法の原則がわかってないと上手い治療はできません。
糖尿病かどうか心配な時は、早朝空腹時に採血するよりも食後高血糖かどうかを見極めるために食事をしてから、おそよ2時間後に血糖検査を受けることが早期発見につながりますよ。