高血圧、まずは減塩と減量

50歳をすぎると男性も女性も半数以上が高血圧です。
遺伝的な素因が大きい病気ですけど、やはり生活習慣が大きく関与します。
生活習慣で何を改善すればよいのかひと言でいうと、まず「減塩と減量」です。

1950年代、日本では高血圧者が多く、そのため脳卒中が死因の一位でした。
高血圧が多かった原因は食塩の過剰摂取です。
1950年代の東北地方の食塩摂取量は一日25gを超えていたそうです。
保存食として塩漬けの食品が多かったことが原因です。

冷蔵庫の普及輸送手段の発達により食塩使用しない新鮮な食品が手に入るようになったおかげで東北地方でも食塩摂取量は低下して15g以下にまでなりました。
食塩1gの低下は、血圧を1mmHg低下させるので、東北の方たちは60年前に比べておよそ10mmHgの血圧低下していることになります。

人集団としてみると血圧2mmHg低下により脳卒中は約6%減少すると考えられていますので、脳卒中が減り現在では日本人の死因の第4位になったことが肯けます。
現在の日本人の一日の食塩摂取量は、平均して1人当たり9.9g(男性10.8g、女性9.1g)です。
1955年をピークとして徐々に低下し、やっと10gをきりました。

それでは食塩は、どのくらいまで少なくしたらよいのでしょうか。
本来陸上の野生動物の食物には食塩はほとんど含まれていません。
食塩摂取量は、肉食動物では体重60Kgあたり1日2g程度、草食動物では1日0.5g程度で生活しています。
原始的な生活をしているアマゾンの原住民は、食塩摂取量1日1~3g程度であり、そのため最高血圧の平均値が男性で約100mmHg、女性で約90mmHgだそうだ。

日本高血圧学会は、血圧管理の生活習慣指導の一環として食塩制限の目標値を6g/日未満を勧めています。
これは当面の目標であり、3g/日近くの減塩を推奨している専門家もおり、減塩はより厳しくというのが世界の趨勢のようです。
減塩療法は、医師が念仏のように繰り返すにかかわらずほとんど上手くいきません。

上手くいかない理由は、どのくらい食塩を摂っているのかモニターすることが難しいことです。
かかりつ医を受診して尿中のナトリウムとクレアチニン排せつ量を測定してもらい塩分摂取量を推定計算してもらいましょう。
自分がどのくらいの塩分をとっているか数字としてみていただくと減塩をする気持ちがわきやすくなります。
生まれついた時から慣れ親しんだ味の濃さに馴染んでしまっているので、急に食塩を制限すると食事が美味しく感じなくなり物足りないものになってしまいます。

徐々に、減塩の努力を続けて行き長い時間かけて減らすことがコツです。
また副食の中の1品だけをしっかりした味付けにして、他は減塩にすると物足りないと感じずに食べられます。
とくに日本食は、醤油を基本とすることが多いので食塩過多になりがちです。
醤油を減塩にして、使用量も少なくすること
味噌汁、漬物も塩分量が多いので味噌汁は具沢山で一日1回のみとし、漬物はできるだけ食べないようにするように心がけることです。

皆さんも減塩を心がけてみませんか。健康になる秘訣です。

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