高尿酸血症、高血圧・慢性腎臓病の原因として

健診で尿酸値が高いと指摘される方が多数いらっしゃいます。
高尿酸血症と診断された場合どうしたらよいのでしょうか。

関節に痛みがある場合(いわゆる痛風)は積極的に治療を受けると思います。
ひどく痛いので我慢できないからです。
痛風は20代~50代のがっちりした体型の若者か、メタボ気味の中年男性に起こります。

典型的な症状は、足の親指の付け根の痛み、時にはしこりを認めます。
痛みは典型的な部位とは限りません。
どこの関節に痛みが起こってもおかしくありません。
痛みがある間は鎮痛剤だけで対処します。

自宅では、痛む部位を冷やして心臓より高い位置にし安静にするようにアドバイスします。
1週間くらいしてから再来院していただき痛みがおさまり、血中尿酸値が高いことを確認してから尿酸を抑える薬を処方します。
若い方が多いために、治療は自己中断になることが多いのがこの病気の特徴です。
でも再発作をおこしやすいので、できるだけ治療を継続することをお勧めします。

多くの方、とくに高齢者では尿酸値が高くても痛風発作を伴わない方がほとんどです。
こういう場合、治療はどのようにしたらよいかまよいます。
最近の研究では、慢性腎不全や高血圧と高尿酸血症が関連するというデータが報告されています。
尿酸値と血圧、腎機能の相互作用が指摘されています。
慢性腎臓病がひどくなると尿酸値が高くなり、尿酸値が高くなると慢性腎臓病や高血圧が悪化します。
腎臓病専門医はこの悪循環をストップさせるために高尿酸血症を積極的に治療しようと提言しています。

高尿酸血症治療ガイドラインでは、尿酸値9.0mg/dl以上で治療の対象となると記されています。
しかし8.0mg/dlくらいでも高血圧、糖尿病、メタボ、慢性腎臓病、喫煙などのリスク因子を持っている方は治療を勧めます。
痛風発作をおこす方は、7.0mg/dlくらいでも治療の対象となります。

薬剤と同じくらい大事なのは、生活指導です。
尿酸のもとになるプリン体は、すべて細胞の核に含まれています。
どんな食べ物にもふくまれていますから、食事量全体を抑えて体重減量すること。
特にプリン体の多い食品は、レバー、肉、魚干物、エビなどですから要注意です。

血中の尿酸を薄めるために水分を一日2L目安に飲むことを勧めます。
でもアルコール(特にビール)は、プリン体が多いので控えること。
運動では、有酸素運動としてウォーキングをすることを習慣化することです。
これで血中尿酸値を6.0mg/dl前後に抑えれば、痛風だけでなく高血圧、慢性腎臓病の予防になります。

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