不思議な自己抗体・・・バセドウ病

バセドウ病という病名を知っている方は、多いと思います。
甲状腺の病気で甲状腺ホルモンが過剰になる病気です。

バセドウ病は、若い女性に発症する病気することが特徴です。
甲状腺ホルモンが多くなるために動悸や発汗過剰、体重減少を認めます。
頚部の甲状腺が腫れている人もいますが、全員というわけではありません。
目立たない方もいらっしゃいます。
バセドウ病というと目が突出してくるというイメージがあるのですが、眼症状はそれほど頻度が多いわけではありません。

この病気の原因は自己抗体です。
自分の甲状腺に対して本来ならば働かない免疫機構が作用して抗体を作ってしまいます。
この自己抗体が甲状腺ホルモンを産生させる働きをするのです。
自己抗体ができる病気には、他にも膠原病などいくつもあります。
でも自分の臓器の機能を刺激する自己抗体というのはバセドウ病くらいしかありません。
不思議な病気です。

治療は、どうして自己抗体ができるかわかっていないので対症療法になります。
甲状腺ホルモン産生を抑える治療ということです。

治療法には、抗甲状腺剤、放射線療法、手術の3つあります。

抗甲状腺剤は、服薬により甲状腺ホルモン産生を抑える薬ですが、時に薬疹、肝機能障害、白血球減少など重篤な副作用がでます。
服用により甲状腺機能が徐々に抑えられて薬を必要としなくなる方もいますが、長期にわたって服用し続けないといけない方、時に症状が増悪して服用量を増減しなければならない方もいらっしゃいます。

放射線療法は、アメリカでは一般的な治療法です。
ただし妊娠を希望する女性には不適な治療です。

手術療法は、甲状腺を部分的に摘出するのですが術後にちょうどよい甲状腺ホルモン状態になる例は1/3くらいです。
あとの2/3は、ホルモン過剰状態が続いたり、ホルモン不足になったりします。
どれを選ぶかは、患者さんの自由です。

日本では放射線療法や手術に対しては抵抗がある方が多いので抗甲状腺剤による治療を受ける方が多いですね。
バセドウ病を若い人の病気だと先入観をもっていると時に失敗します。
中高年で体重減少、疲れやすいなどの症状が見られたときに調べるとバセドウ病だったということがちょくちょくあるので要注意です。

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