透析にならないようにするためには・・・慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病(CKD)とは、3カ月以上にわたってタンパク尿が続くか、腎機能が低下した状態のことです。
簡単に言えば、腎臓の働きが低下した状態と考えてよいでしょう。

主な原因は、高血圧、腎炎、糖尿病そして加齢です。加齢は防ぎようがありませんが、高血圧や糖尿病はきちんとコントロールしてあれば急に悪くなるようなことはありません。
とくに糖尿病による腎障害は、透析の一番の原因ですから防ぎたいものです。

糖尿病腎症かどうかは、尿中にタンパク(微量アルブミン)が出ているかを調べます。
糖尿病になったすべての方に腎症が起こるわけではなく、発症後数年たって約半数の方に起こります。
3~6ヵ月ごと定期的にチェックしてゆく必要があります。
上手く治療ができていれば発症しなくてすむのです。

糖尿病腎症を併発された方は、これ以上腎症の進行を進めないように治療をしてゆくことが大事です。
腎症の発症予防および進行予防のためには、以下のような点に注意すること。

① 血糖コントロール
コントロール目標は、ヘモグロビンA1c(HbA1c)が7%以下です。
厳格にコントロールすることで小血管の障害をおこさずにすみます。

② 血圧コントロール
血圧が高い方は、130/80mmHg 以下になるように治療をします。
一般にARBとかACE阻害薬と呼ばれる降圧剤が腎機能改善効果があるために使用されます。
ただし、糖尿病でもタンパク尿が認められない段階での高血圧の場合は、血管拡張薬(カルシウムブロッカー)でもOKです。

③ 塩分制限
一日6g程度の塩分摂取量にします(日本人の平均塩分摂取量は9~10gです)。
かなり薄味にする必要がありますが、徐々に慣れてゆくしかありません。
ポイントはすべての料理を減塩にするのではなく、一皿だけ塩味がきいているようにすると満足感が得られやすくなります。

④ タンパク制限
タンパク摂取の制限は、大規模な臨床研究では腎症進行を防ぐというデータはありません。
(タンパク制限食の研究は、実践的に難しいためです)
でも腎機能低下(eGFR60以下)の方がプロテインを摂りすぎると腎機能が悪化することがわかっています。
やはりタンパクの多い食事は基本的に控えるべきでしょう。

透析するようになると週3回半日病院で拘束されることになります。
やはりとてもつらいものだと思います。
透析になる前にとにかく予防することです。

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