誤嚥性肺炎予防 栄養サポートチーム(NST)

先日、ラジオを聞いていて話し手の言葉に衝撃を受けました。
それは「2025年には認知症患者は約700万人になると予想される。
現在の全国の小学生の総数は650万人だから小学生よりも認知症患者の方が多いことになる。」というものでした。
なんという高齢化社会、そしてなんという少子化社会かと二つの側面でショックでした。

こういう時代であると認識しながら、医療者は粛々と高齢者に対する医療を行っていくのが使命だと思います。
高齢者は、認知機能低下の他に嚥下機能低下も起こります。

70歳以上の高齢者では20~30%が嚥下機能障害を有すると報告されています。
その結果、日本では肺炎が増加し、がん、心疾患についで死因の第3位になりました。

嚥下機能を温存させることが肺炎死亡を減らすことにつながります。
老化現象だからどうやっても難しいところもありますが、
なんとか悪くならないようにしたいものです。

嚥下ができなくなり、口から食事がとれなくなるほど悲しいことはありません。
人生最後の楽しみも奪われてしまう感じです。
医療現場では医師、栄養士、リハビリスタッフ、看護師が栄養サポートチーム(NST)をつくり嚥下障害者に対して食事内容・形態・食べさせ方を考えます。

水分は、誤嚥しやすくてもとろみをつけると嚥下しやすくなります。
しかしとろみを付けすぎると味がまずくなり食べることに拒否感をもつ方もいます。
わずかなとろみで結構誤嚥せずに、飲みやすくなるので少量ではじめるとよいでしょう。

言語聴覚療法士(ST)が主に嚥下リハビリを担当します。
医師が外来で嚥下指導するのは時間が限られており難しいことです。
医師が嚥下リハをオーダーすることでSTは20~30分間丁寧にリハビリを行ってくれます。
医師の役割は、現在の嚥下状態を評価することです。
嚥下内視鏡(VE)あるいは嚥下造影検査(VF)を行うことで嚥下機能をチェックできます。

嚥下障害に関しては、多職種がチームを組み1人の患者さんに当たることが重要なことです。
嚥下機能障害の恐れがある方は、このようなチームが組織された病院や診療所で治療や介護を受けることが好ましいでしょう。
もちろんご家族もチームの一員として自宅で嚥下機能の改善・維持に努めることが望まれます。
いつまでも笑顔で食卓を囲むことができるようにしたいものです。

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